「自分で新たにファッションブランドを立ち上げたいけれど、何をしたら良いのか分からない。」
という悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
最近はブランドの立ち上げはもちろんアパレルの仕事もしたことはないけれど、ファッションが好きという理由だけで自分のブランドをスタートさせるケースがよく見られます。
どうやって立ち上げているのか疑問ですよね。
そこで今回の記事では、ファッションブランドの立ち上げ方の具体的な流れや必要な準備、注意点について解説していまいります。
どうぞ最後までご覧いただき、ファッションブランドを立ち上げたい初心者の皆さんの参考になればと思います。
目次
ファッションブランドは誰でも立ち上げできる?
ファッションブランドは立ち上げるために特別な資格は不要で、誰でも立ち上げることは可能です。年齢や経験の有無も関係ないので、学生で立ち上げる人もいます。
ただし、立ち上げるだけなら誰でもできますが、その後の運営をスムーズに進めるためにはある程度のスキルが求められることもあります。
例えば、服飾の専門学校などで学べるアパレル業界の専門知識。洋服に関してだけでなく生産や流通の仕組みについても学べるため、自身のアイテムを生産し販売する上で非常に役立ちます。
また、アパレル会社の商品開発や仕入れといった部門で勤務した経験も事業を運営する上で役立ちます。中でも規模の小さい会社での勤務は複数の業務に関われる可能性が高くおすすめです。
他にも、デザインやマーケティング、経営、広告等の専門的な知識やスキルも役立つでしょう。
ファッションブランドの立ち上げ方
ファッションブランドの立ち上げは、ブランド名を決めて商品を製作し販売すれば終わり、というわけではありません。
やらなければならない具体的な流れを以下に紹介します。
1.ブランドのコンセプトを決める
ファッションブランドを立ち上げる前にやらなければならないこと。
それはブランドのターゲットとコンセプトを明確化することです。
これはファッションブランドの立ち上げに限らず、新たにビジネスを始める際に重要な作業です。
商品のデザインや生地、価格の選択は、このターゲットとコンセプトに沿ったものでなければブランドの統一性や説得力がなく、集客をする際にも方法が定まらなくなり顧客の獲得が難しくなる可能性が高いです。
2.ブランドの名前とロゴを決める
ターゲットとコンセプトが決まったら、次にブランド名とロゴを決めていきます。
ブランド名はイメージに合うような響きや意味を考え、更に日本語表記にするのか英語にするのか、フランス語にするのか、字体はどうするのか…等を細かく決めていきます。
そして名前が決まったらブランドの顔となるロゴを作ります。
自分で作成するか、自信がなければデザイナーに外注するという選択肢もあります。費用を削減するために最近はロゴを簡単に制作できる無料のツールやアプリがあるので、それらを利用してロゴ作りに挑戦してみることもおすすめです。
3.開業の手続きを行う
起業の形態によって開業の手続きは異なります。
個人事業主としてファッションブランドを立ち上げる場合は、開業届の提出は必須ではありません。
しかし提出することで青色申告が出来るようになり節税という意味でも大きなメリットがあります。
届出先は税務署になります。ネットから簡単に提出することも可能です。
個人ではなく会社を設立する場合、法務局へ登記申請が必要になります。
会社設立は個人事業主の開業よりも手続きの手間やコストがかかりますが、社会的に信用を得られやすくなるため銀行から融資を受けたい場合に個人事業主よりも受けやすくなったりします。
株式会社なのか有限会社なのか等、会社の種類によっても手続きの内容や費用は違いますので、詳細については解説記事を検索いただければと思います。
4.商標登録を行う
必須ではありませんが、ブランド名の商標登録をしておきましょう。
ただし、他社が既にその名前を商標登録していると使用することが出来ず変更を余儀なくされるため、事前に同一名称のブランドや会社名、サービス名等はないか必ずチェックしておくことが大切です。
商標登録をしないままビジネスを展開し、後から他のブランドに同じ名前を商標登録されてしまうと、それ以降その名前を使えなくなってしまうため、そのリスクを避けるためにも早めに商標登録を済ませておくことをおすすめします。
5.商品の製造方法を決める
初めてファッションブランドを立ち上げ資金に余裕があまりない場合、製造する商品の種類は少なめに小ロット製造でスタートさせましょう。
まずはトップスだけから始め、売上が伸びブランドが成長してきたらボトムスを追加するといった形で少しずつ増やしていく方が失敗のリスクが少なく始められます。
6.商品を製造する
商品が製品化するまでには実は多くの工程を要します。
具体的には、
・縫製工場の選定
・洋服のデザイン画や写真を用意してイメージを提示
・ディテールの指示
・生地、装飾品のイメージの提示
・指示書の作成
・使用する生地や装飾品を決定
・パターンの作成
・サンプルの作成
・寸法、ディテールの確認
・見積もりの確認
・生産枚数の決定
・製造依頼
・完成物の納品
ざっと上げただけでこれだけあり、アパレル業界が未経験の方が自分一人でこれらの工程をこなしていくのは非常に難しいでしょう。
そのような場合やアパレルブランドの立ち上げを支援するサービスを活用することをおすすめします。
7.商品を仕入れる
オリジナル商品だけでなく問屋から仕入れたものを販売することも可能です。
セレクトショップという形態にする場合は、この仕入れが中心となります。
問屋との取引はオンラインで行うことも出来るため、直接足を運ぶことなく仕入れることも可能です。
8.品質表示ラベルをつける
日本国内で洋服を販売する場合、「家庭用品品質表示法」にて商品の品質を記載した洗濯ラベルをつけることが義務付けられています。
記載する内容は、
・使用している繊維の名称
・洗濯絵の表示
・取扱注意事項が記載された付記用語
・表示者名及び連絡先(住所、電話番号)
この他にも、サイズや原産国の記載があるラベルがほとんどですが、これに関しては法律で表示の義務が定められているわけではありません。
しかし表示されている方が消費者の立場からすると親切で安心です。
なお、洗濯ラベルはタグを縫い付けるほか、直接印字してもOKです。
9.PR・プロモーションを行う
ファッションブランドを立ち上げたら、ターゲット層に知ってもらうことが大切です。
そのため、多くのアパレルブランドはInstagramやX(旧Twitter)、Facebook等のSNSを集客に活用し、販売サイトやホームページへアクセスしてもらうよう紐づけています。
販売を開始する前にブランドのコンセプトがユーザーに伝わるよう、画像やメッセージの投稿を行いましょう。
上手くいけば販売前にファンを増やすことができます。
ファッションブランドの販売形態の種類
ファッションブランドの立ち上げ方の中で商品をどのように売るのか、販売ルートはどうするのかといったことも重要です。
主な販売形態とそれぞれの特徴を下記で説明していきます。
実店舗を持つ
実店舗を構えるにはターゲットが集まりそうな立地をリサーチして物件を探し、店舗の賃貸契約、内装の工事、インテリアに必要な設備や家具の購入等、高額な初期費用と膨大な時間、労力が必要となります。
また、頑張って店舗を持っても経営が最初から上手くいくとは限りません。
軌道に乗るまでの期間も家賃や光熱費等はかかるため、資金不足にならないようしっかりとした計画が必要です。
ネットショップを開設
実店舗ほどの費用をかけずに商品を販売できる方法としてネットショップがあります。
最近は人気の高いブランドでも実店舗を持たずオンラインのみで販売しているショップも少なくありません。
また、実店舗と同じ商品を取り扱いする場合、ネットショップの方が早く販売を開始できること、実店舗と比較して家賃や人件費等のコストが抑えられる分、商品の価格を安くできる点などのメリットが挙げられます。
ネットショップとひと言で言っても、実はいくつもの種類があります。
自分でECサイトを開発する
自分または自社ででシステムを開発する、あるいは制作会社に依頼をして開発しオリジナルのネットショップで販売する方法です。
メリットとしてはブランドのイメージに合ったデザインのショップを作ることができ、他社との差別化を図ることができること。
一方で当然開発には費用が発生するため相場としては100万円以上の初期費用がかかり、更に保守やサイトの管理、顧客情報を取り扱うためセキュリティーに関しても強化する必要がある点はデメリットと言えます。
ネットショップサービスの利用
最近はBASE等のネットショップサービスの利用も人気が高く、用意されたテンプレートを使えば簡単にオリジナルショップを開設することが可能です。
一からシステムも開発するよりも大幅に費用を抑えられますが、選ぶサービスによっては開設や月額費用がかかったり、商品が売れると手数料を支払う必要があるため、それぞれの料金をよく確認して選びましょう。
ECプラットフォームの利用
上記二つの方法はオリジナルショップを構える方法ですが、楽天やAmazonのようなECプラットフォームにショップを出す方法もあります。
こちらも初期費用が月額費用はかかりますが、プラットフォーム自体の知名度が高ければ自分たちで広告や宣伝、営業活動をしなくても検索機能で集客できてしまう点がメリットです。
フリマアプリの利用
中古や不用品を出品するイメージの強いフリマアプリですが、実はオリジナルの商品を販売することが出来ることを知っていますか?
ショップとしての出店ではなく、他の登録者と同じようにアカウントを作成して自分のページに商品を掲載し販売します。
ただし、そもそもフリマアプリは商業利用を想定して運用されているわけではないため、購入したいものがある時にそれを直接探すために利用する利用者がほとんどです。
そのため、一度購入してくれたお客様に継続して利用してもらうことが他のネットショップと比べて難しいというデメリットが考えられます。
フリーマーケット、ポップアップストアへ出店
実店舗やネットでのショップも構えずに、募集されているフリマや商業施設で行われるポップアップストアに参加して販売するという方法もあります。
決められたスペースの中での出店なのでいずれも出店費用が安くランニングコストがあまりかからないのですが、出店先やイベント会場がコンセプトやターゲットに合っている場所かを見極める必要があります。
副業として始める場合やまだ商品の種類や数が少ない、自分のショップを構えるのは不安といった段階の時に試してみると人の反応を見たり意見をもらえることも出来るため、ショップを構えるために必要なものが何かを考える材料にもなるかと思います。
ファッションブランドの立ち上げに必要な資金の集め方
上記のように販売する方法によって必要な資金は大きく異なりますが、共通して商品の製造や在庫の管理、倉庫、法人であれば会社の設立費などの費用は必要です。
資金が足りなければ、最初は製造コストや在庫数を抑えられるフリマやポップアップストアからスタートさせることがおすすめですが、どんな形でも自分のショップを出店したいという場合は資金集めをしなくてはなりません。
そこでおすすめなのが「クラウドファンディング」です。
クラウドファンディングはインターネットを通じて多くの人から資金を調達する方法で、さまざまな目的で実施されています。
クラウドファンディングを成功させるためには、多くの人に出資したいと思わせることが必要です。
ブランドのコンセプトに共感してもらうこと、返礼品に自社の商品を提供することで商品に魅力を持ってもらえた場合に出資を受けることが出来ます。
みなさんに読んでもらうプロジェクトページ作りは徹底して行いましょう。
ファッションブランドの立ち上げ方の注意点
市場にはたくさんのファッションブランドが存在しています。その中で自分のブランドを立ち上げる際にはいくつか注意しなければならないことがあります。
主なポイントを紹介していきましょう。
類似ブランドの有無
他社との差別化を図るためにもできるだけ独自のコンセプトを設定することが大切ですが、
既に認知度の高いブランドの中にコンセプトや商品のデザインが似ている類似ブランドがあった場合、盗作を疑われ最悪の場合、訴訟などのトラブルに発展してしまう可能性があります。
ブランドを立ち上げる前に類似ブランドはないか、似たデザインはないかの確認は必ず行うようにしましょう。
集客方法を考える
ブランドを成功させるには、多くの人に自分のブランドを知ってもらう必要があります。
インフルエンサーに依頼してSNSで広めてもらう等、自分のブランドに最適な広告・宣伝方法を検討しましょう。
ニーズに合った商品の販売
ファッション業界のトレンドというのは日々変化しています。
その中で常に最新のトレンドをキャッチするために市場を調べ消費者やターゲットのニーズに合った商品を製造することが大切です。
独自のこだわりの追及もとても大切なことですが、求める人が少なくビジネスとして成り立たなければ元も子もありません。
最初はジャンル・カテゴリーを絞る
ブランドの立ち上げ早々、商品のジャンルやカテゴリーを広げ過ぎてしまうと製造コストが高くなり、資金が続かなくなってしまう恐れがあります。
そのため、最初はジャンルやカテゴリーを絞りある程度売上が伸びてきたら別のジャンルの商品に手をつける方がリスクが少なくおすすめです。
まとめ
ファッションブランドの立ち上げ方にはさまざまな方法があり、自分の予算や希望に合った方法を選ぶことが大切です。
また、立ち上げ前のコンセプトの明確化もブランドの運営を継続させていく上で非常に重要なこともお分かりいただけたかと思います。
しかしノウハウや経験の少ない初心者の方が一人でこれらのことを考え、準備し作業するのは非常に難易度が高いのが現状。
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