アパレルブランド立ち上げのポイントは大量発注しないことです

一流のアパレルブランドも最初は一枚から

アパレルブランド立ち上げを成功させる秘訣は、とにかく縫製工場に大量発注しないことです。

大量に発注すれば原価も下がり、売れれば儲けも大きいのですが、トラブルも多いものです。

まず、サンプル作成を依頼します。縫製工場からイメージ通りの商品が上がってくれば良し、ダメならすぐに再生産を指示するか縫製工場を変えましょう。再生産を指示すると言い訳や仕様の問題を言ったりして再生産を渋るような縫製工場とは即刻取引を止めてしまいましょう。とにかく、サンプルがまともに上がってこない縫製工場には何を発注してもダメです。

また、サンプル時点でトラブルがある縫製工場は本生産になっても必ずトラブルが起こります。

サンプル生産のみで、本生産をしないとなると縫製工場側からいやなことを言われる可能性もあります。しかし、そのことを恐れてズルズル発注を続けることは、アパレルブランドを立ち上げる夢の大部分を縫製工場側に握られてしまうことになります。多少いやなことを言われても、キッパリと取引を止めてしまいましょう。

希望通りのサンプルが出来上がったら、次に本生産になりますが、このときに出来れば初回発注は1品番10枚~20枚程度に抑えましょう。

なぜ、そんなことを言うかというと、サンプルは自社生産で、きれいな商品を作りながら、本生産は内職で品質よりも徹底的に安く作って儲けようというような縫製工場も結構あると思ってください。

サンプルと本生産の品質が全く違うこともあります

サンプルはきれいに上がったのに、本生産では全然別物が上がってくるということは、ままあることです。しかもインターネットでの注文なので、縫製工場からは代金先払いを要求されると思います。

代金は先に払わされて、クレームを言っても、修理に応じてくれない不親切な縫製工場もあります。このような時の被害を最小限に防ぐためにも、できるだけ少ない枚数を初回発注にしましょう。初回発注でトラブルが発生して、損害をこうむることになっても再度チャレンジできる余力を残しておくことが重要です。予想外の落とし穴はたくさんあります。

在庫

初回発注が望む品質で上がって、販売も順調なら、次回発注で原価を考えた発注にすることが、アパレルブランド立ち上げの成功法です。

少ない枚数の発注に対応してくれる縫製工場は、どのマーケットで生き残るか明確に選択できている縫製工場です。大きいロットを要求する縫製工場は、未だにメインのお客様はアパレルだと思っている縫製工場なので、新たにアパレルブランドを立ち上げたいと思って取り組んでいる人の気持ちや思い入れと、縫製工場の意識にはかなりの乖離があるものと思っていたほうが良いと思います。

双方が同じ目線で夢を共有できる縫製工場とめぐり合えることが理想ですね!

どんな有名ブランドでも最初は少量生産からスタートしています

どんな有名ブランドでも最初から大量生産しているわけではありません。すでにブランドとして確立していて、その販売網に新たなブランドを投入する場合は、販売網を活用出来るので、初回発注でもある程度の生産量でスタートしますが、販売網が確立していない段階での発注は少量になります。

そこから小さい成功を積み重ねながら、少しずつ生産量を増やしていくものです。ブランドとして認知されて、販売量が増えていくことを一緒に楽しみにする縫製工場と連携できることが、成功への基盤です。

アパレルブランド立ち上げ手順(商標登録からネットショップの開設まで)

個人でも依頼出来る縫製工場マッチングサイト

成長期のアパレル企業と取引出来れば安定受注になる

縫製工場とのマッチングサービスは縫製工場とアパレル企業とのマッチングをメインにしていますが、縫製屋ドットネットは個人の方でも申し込み可能です。

アパレル企業からの発注は数量もある程度確保出来ますし、縫製仕様書なども整っているので、縫製工場の立場からすると楽な案件です。このようなマッチンクサイトを利用するアパレル企業はまだ、販売量も十分では無く、固定的な縫製工場との取引を確立する前段階の企業であることがほとんどです。

その中には、販売が好調で、安定した生産を依頼出来る先が確保出来れば、大きく成長出来ると考えている企業もあるでしょう。このような成長期に入っているアパレル企業と取引できるのが縫製工場とすれば一番良い取引先になると思います。

ただ、このようなアパレル企業でも販売が安定して見込めるようになれば、コストの安い海外の縫製工場を探すようになります。縫製工場とすれば、安定した発注先だと思っていたのにある日突然、海外で生産するから発注は打ち切りと言われてしまい、また新たな発注先を探さなければいけなくなるのです。

企業じゃなくても大丈夫

縫製屋ドットネットはアパレル企業からの発注ももちろんですが、個人の方がアパレルブランドを立ち上げたいけれど、どこに発注して良いのか分からないと言う悩みに応えるマッチングサイトです。

個人からの発注は、生産量も少なく、縫製仕様書は勿論、生地や型紙も決まっていないことがほとんどだと思います。縫製工場としても手間のかかる案件なのですが、受注する縫製工場も出来るだけフォーマット化して、煩雑なやり取りをしなくても生産に入れるようにしているところもあります。

個人でアパレルブランドを立ち上げようとする人は、大きな夢を持っています。夢が実現するまでには、多くの障害を乗り越えないといけないと思います。

しかし、国内の縫製工場が生き残って行くためには、国内のアパレルブランドを立ち上げたいと思う人たちがどんどん出て来るような土壌を作らないと、生産拠点は海外にどんどん移って行き、存続すら難しい状況になっているのです。

個人でアパレルブランドを立ち上げたいと思う人がどんどん出て来れば、そのようなニーズに応えることを専門にする縫製工場も生まれて来るかも知れません。

個人でブランド立ち上げを目指す人とマッチング出来れば長い付き合いが出来る

個人でアパレルブランドを立ち上げたいと考える人とのマッチングが出来れば、海外生産する程まで企業が成長するまでの長い期間のお取引が可能で、そのような個人の方達と多く取引が出来れば、残念ながら途中でブランド立ち上げを断念する人も出て来ると思いますが、順調に成長する人も出て来ます。

順調に成長する人、数人とお取引が出来れば、縫製工場としても安定稼働が出来る可能性もあるのです。

糸とハサミ

個人だからと遠慮しないで下さい

個人で発注しようとすると、色んな縫製工場から断られると言う経験をしている人もいるかも知れません。でも遠慮せすに問い合わせして見て下さい。

縫製工場は生産する品目によって工場が違うので、色んなアイテムを作りたい方は、複数の縫製工場と打ち合わせをしないといけないかも知れません。対応も縫製工場によって様々かも知れません。とてもスムーズに話しが進む工場となかなか思いが伝わらない工場もあるでしょう。

でも、どの縫製工場もあなたのブランド立ち上げの手助けをしたいと思っています。個人の方の依頼は、手間もかかるので、初期の費用はどうしても高くなりますが、オーダーをリピートして、発注ロットも増えると大幅にコストが安くなります。

アパレルブランドの立ち上げは初回発注をいかに売り切るか

アパレルブランドの立ち上げが上手く行くかどうかは、初回発注をいかに売り切るかにかかっています。今は、アパレルの商品を販売するサイトも多くありますので、初回発注を売り切るのはそんなに難しく無いかもしれません。

初回発注を確実に売り切って、リピート発注が出来るようになれば、ブランドの確立は十分に見えて来ます。

初回発注を売り切って、リピート発注が出来るようになれば、縫製工場としては、とても良いお客様になります。縫製屋ドットネットで初回発注の生産を依頼した縫製工場には是非リピート発注もしていたただいて、末永いお付き合いが出来ればとても嬉しいのです。

アパレルブランドが育って、大量の発注が出来るようになれば、生産拠点をコストの安い海外に目が向くのは仕方のないことだと認識していまます。

海外生産するまでの間の一番熱量の高い時期を一緒に仕事をさせて頂ければ嬉しいです。

ネームタグの付け替えは法律違反です

家庭用品品質表示法に基づいた表示が必要

アパレルブランドの立ち上げは簡単だと書かれているWEBサイトもあり、中国製などの既製品のネームタグを付け替えれば良いと書いてあるページもありますが、これは、家庭用品品質表示法に違反します。

「日本国内で一般消費者に対し対象商品の販売を行う場合には、家庭用品品質表示法に基づいた表示が必要です。」

また、「表示者名、連絡先」の表示については、表示内容に責任を持てるところが表示者になります。これは、日本国内に営業拠点のある事業者(輸入業者、販売業者、表示業者のいずれか)が行うこととなります。

さらに、消費者に見やすく分かりやすい表示が必要ですので、表示言語は日本語になります。」(消費者庁のWEBページから引用)

日本語の品質表示と製造者又は販売者の表示が必要です

ネームタグを付け替えても、洗濯表示は日本語でしないといけません。また、販売業者の氏名又は名称及び住所又は電話番号の表示が必要です。規定に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。 となっています。

罰金

商品に有害物質が残留している場合などに販売者をすぐに特定できるようにしないといけません

消費者に対して商品を販売する行為には、製造者や販売者は一定の責任を負うことになります。販売している商品の販売者が分からないような商品や品質表示が日本語で記載されていないような商品を販売してはいけないのです。万一、商品に有害物質が残留していて、消費者に被害が出ても誰が販売者か分からないようなことになって、マスコミでも取り上げられた末に販売者が判明すると言うような事態になったら、二度とアパレルブランドを販売することは出来なくなるでしょう。簡単にブランドを立ち上げるセットなどもありますが、販売者の表示はどうなっているのでしょうか?

加工食品でも製造者や販売者の記載と原材料も表示されています。これは、商品を販売するには、当然のことで、万一食中毒などが発生した場合に製造元を特定するために必ず必要な情報です。

さらに言うと、製造者や販売者と品質表示をすると言うのは、製造業者や販売業者が品質を保証していると言う事です。

繊維製品でも不良品が消費者の手元に届いてしまうことはあり、その場合に素早く対応するためにも、業者の連絡先の表示は必要です。もしも、お店で販売されていて、業者の連絡先の記載が無い商品に不良品があった場合、販売していたお店へ持ち込んで、お店が仕入れた業者を調べて対応すると言う事になるととても手間がかかります。あってはいけないことですが、不良品の対応のためにも業者の連絡先の記載は必要なのです。

アパレルブランドを立ち上げる時には、業者として住所か電話番号、商号の記載が必要なことを認識しましょう。

ブランドを立ち上げると言うことはそれだけの責任も負うことになるのです。ブランドを立ち上げる夢の良い部分だけ見て、当然付いてくる責任について全く知らずに販売を行うと、トラブルが発生した時に大きな問題になるので、注意しましょう。

PL保険も必須です

アパレルブランドの製造を委託する縫製工場からはPL保険の証書の提出を求めて下さい。販売した商品が、生産者側の問題でお客様が被害を受けた場合の損害賠償をしてくれる保険です。PL保険に加入していないと、お客様とトラブルになった時に誰も賠償してくれなくなって、最悪の場合裁判で負けて賠償命令が出ても支払いが出来ずに自己破産するしか無くなってしまうこともあります。縫製工場がPL保険に加入していれば、問題が起きても保険でまかなえるので安心です。

アパレルブランド立ち上げ手順(商標登録からネットショップの開設まで)

アパレルブランド立ち上げに際して決めておくこと

アパレルブランド立ち上げにあたって決めておいた方が良いこと

アパレルブランド作成にあたり

アパレルブランドを立ち上げるにあたって、決めておいていただきたいこと

以下に記載することは、問い合わせ時に全部決めておいていただかなくても結構ですが、決まっているほうが、作成までの期間は短く済みますし、打ち合わせにかかる時間や手間も少なくてすみます。

縫製工場は生産前の打ち合わせを極力短くしたいと考えています。事前打ち合わせみコストなので、出来るだけ余計なコストは掛けたくないと言うことです。なので、縫製工場に発注するにあたっては、自分でも不明な部分を極力減らして発注するようにしましょう。

商品アイテム

どんなアイテムを作成するのか決めてください。複数のアイテムに及ぶ場合も複数のアイテムを縫製工場にお知らせください。

デザイン画やサンプル、仕様書などがある場合はお見せください。

生地の手配をどちらがするか

アパレルブランドに使う生地をお客様が手配されるか、縫製工場が手配するか、お決めください。どんな生地を使うのか、例えば実際に手持ちの商品と同様の生地を使いたい場合は、その商品なども一緒にお送り下さい。

生地サンプル

生地を縫製工場に手配してもらう場合は生地一反を使い切る量が最低ロットになります。ただ、生地によっては一反では買えない生地もあります。その場合は、染め単位が最低ロットになりますが、生地の染め単位分の生地だけ発注して、残った生地を縫製工場に保管しておいてもらって、追加発注しながら消化して行くことも可能な場合がありますので、縫製工場と相談してみて下さい。

副資材の手配

アパレルブランドに使う副資材をお客様が手配されるか、縫製工場が手配するか、お決めください。

糸サンプル

型紙の作成

アパレルブランドの型紙の作成もお客様がされるか、縫製工場で作成するかお決めください。型紙は縫製工場が指定する縫い代を含んだ型紙でお願いします。型紙は全サイズをご用意いただければ一番良いですが、基本のサイズのみ型紙を作成されて、残りの型紙は工場で作成する場合は、サイズ展開の仕上がりサイズをお知らせ下さい。

型紙を作成するには、肩幅や身幅、着丈などの寸法が決まっていないと作成出来ません。いろんな部位の寸法などが分からない場合は、「標準的なMサイズで」とかでも大丈夫です。

縫製仕様

縫製仕様と言うのは、どの部分をどんなミシンで縫うのか、ステッチ幅は何mmかなどの仕様を指定することですが、こだわりが無ければ、「工場の作りやすい仕様で」と言っていただければ結構です。

オーダー

サイズ展開やカラー展開、カラー、サイズごとの発注枚数。

サンプル作成時期、商品のお届け時期のご希望をお知らせください。

 

以上が決まっていれば、生産は可能になると思います。

 

開業届けや商標、品質表示などはアパレルブランド立ち上げ手順で詳しく説明しています。

アパレルブランド立ち上げ手順(商標登録からネットショップの開設まで)

アパレルブランドを立ち上げる時の戦略

事業戦略にはコストリーダーシップ戦略と差別化戦略があります。

コストリーダーシップ戦略は、低コストで勝負しようとする戦略です。コストを下げるには、大規模な生産設備を導入したり、製造工程の改善を積み重ねて低コストを実現することになります。ただ、低コストを実現するためには、市場シェアを高めて、生産量を増やすことが重要になります。これを実現するためには、宣伝広告などに大規模な投資が必要になります。これは、新規参入で小規模な事業者には向かない方法です。また、すでにユニクロを代表とするコストリーダーシップ企業が存在しており、それに対抗するのは至難の業と言えるでしょう。

一方の差別化戦略は、商品の機能、品質、デザインなどの商品自体や、顧客サービスなどで他社と差別化することです。アパレルブランドでは、まだまだ差別化する要素は多く残されていると思います。機能素材なども次々と開発されていますが、最初は大企業への優先供給となりますが、数年後には一般にも流通して手に入るようになります。このような素材を組み合わせて新たな機能の商品を開発したり、製造段階でのこだわりなどで差別化する方法もあります。また、デザインなど色んな切り口での差別化も可能だと思います。ただ、すでに世に出ているものと同じ物を作っても差別化は出来ません。ブランドを立ち上げる時には、すでに市場にある商品をリサーチして、自分が企画する商品が差別化できるかどうか十分に判断しましょう。

戦略

次は集中戦略です。

集中戦略は競争範囲を狭めることで、経営資源を集中的に活用するものです。ブランドを立ち上げる時点では経営資源にも限りがあるので、資源を一つのセグメントに集中することが大切です。絞り込むには、特定の商品に絞り込む。特定の顧客に絞り込む。特定の地域に絞り込む。特定の販売チャネルに絞り込むなどの方法があります。差別化した商品で特定の顧客や販売チャネルに絞り込み、高い価格での販売を可能にします。このように差別化集中戦略で商品の販売を行い、まずは、初回発注を売り切ることを最優先して、そこで残った資金で次の商品企画を行い、このサイクルを繰り返しながら、さらに深く集中して行くか、又は商品アイテムを広げるかの判断をして行けば良いと思います。

アパレルブランド立ち上げ手順(商標登録からネットショップの開設まで)

縫製工場で作る商品はあくまでも工業製品です

どれだけ商品にこだわりがあっても芸術品を作ることはできません

縫製工場は、アパレル商品を大量生産するのが基本的な営業スタイルです。アパレルブランドを立ち上げたい人は、自分のブランドに対して強い思い入れがあって、こだわりも強く、商品の品質に対して、とても強い要求をされる場合があります。

しかし、縫製工場と言うのは、ほとんどが人の手で商品を縫製するので、出来上がる商品にはある程度のバラツキが生じます。このバラツキを認めてもらわないと、商品の量産は出来ません。
ほとんど機械によって加工される商品の場合は、バラツキの幅も少なく、ほとんどが同じ商品としてアウトプットされますが、人の手加減次第でどうにでもなる縫製品の場合は、ある程度のバラツキはどうしても発生します。
もしも、バラツキの無い商品を希望されると、それは工業製品では無く、芸術品になってしまい、加工の単価も跳ね上がります。

商品のバラツキをどこまで認めるか

商品として出来上がったもののバラツキの範囲をどこまで許容するのかは、とても重要なことだと思いますが、バラツキの範囲は縫製工場に品質基準があると思いますので、ある程度の範囲で収まるように生産してもらえるはずです。

届いた商品にあまりにも大きなバラツキがあある場合は、縫製工場に連絡して、商品の修理を依頼しましょう。商品のバラツキば出来れば画像などをメールで送信して、縫製工場と情報を共有するようにしましょう。縫製工場も納得できるバラツキであれば、修理をしてくれるはずです。

ただ、ここで、発注者と工場との間で、バラツキの許容範囲に差が生じてしまうと、トラブルに発展しかねないので、本番の生産に入る前に品質基準については、十分に確認して、納得しておくようにしましょう。縫製工場も悪意を持って、不良品を納品するようなことは無いので、検査での見逃しなどがほとんどだと思いますので、話し合えば、納得してもらえるはずです。

縫製工場を探す方法

自力で自分のブランドの商品を作ってくれる縫製工場を探す方法

自分で企画デザインしたブランドの生産を行ってくれる縫製工場を見つけることは、なかなか難しいことです。

縫製工場は商品アイテム毎に細分化されていて、縫製工場が見つかっても、自分が生産して欲しい商品を生産できる縫製工場かどうかは詳しく話をしてみないと分かりません。

立ち上げたいブランドの商品アイテムが複数の場合は、複数の縫製工場を探さないといけません。

そんな状況の中で、縫製してくれる工場を探す方法をお伝えします。

インターネットで縫製工場を探す

最も手軽に探す方法です。Googleなどの検索エンジンで検索窓に「縫製工場 アイテム」アイテムにTシャツやスーツ、バッグなどのアイテム名を入れて検索します。もしも、自分が住んでいる地域に近い縫製工場を探す場合は「縫製工場 アイテム 地域名」で検索して探してみましょう。

縫製工場はアイテムによって専門化されているので、取り扱っているアイテムと違うアイテムの依頼を受けても設備が違うので、生産出来ません。アイテムが違う縫製工場に依頼されても、縫製工場にとっては迷惑なだけなので、必ず作りたいアイテムの生産をしている縫製工場に依頼するようにしましょう。

ネットで探す時には、複数の縫製工場をリストアップしておきましょう。

これは、アイテムが合った縫製工場だったら必ず対応してくれるとは限らないからです。縫製工場がアパレルさんからの受注しか対応していないこともあります。また、個人からの案件にも対応する縫製工場であっても、繁忙期には、キャパが一杯で、対応したくても物理的に出来ない場合もあるからです。

iタウンページで探す

Googleの検索で見つかる縫製工場は基本的にホームページを公開している縫製工場で、全国にある縫製工場のごく一部だと考えられます。これは、縫製工場の経営者が高齢化していて、ホームページの公開の必要性も感じていないことが原因だと考えられます。なので、大多数の縫製工場はホームページを公開していないと考えられるので、ホームページを公開していない縫製工場の中にあなたのブランド立ち上げのパートナーになってくれる縫製工場がある可能性は高いと思います。

職業別電話帳が手元に無くても、iタウンページで探すことが出来ます。iタウンページに掲載されている縫製工場の方が、ホームページを公開している縫製工場よりも小規模の可能性が高く、少ロットの発注に対応してもらえる可能性は高いかも知れません。ただ、iタウンページでは、縫製工場の生産アイテムは分かりませんので、電話をかけて確認してみるしかありません。

iタウンページに掲載されている縫製工場であれば、ご自身がお住まいの地域の近くの縫製工場が見つかると思いますので、直接会ってブランドを立ち上げたい熱意などを伝えることが出来ますので、共感してもらえれば、とても良いパートナーになってくれる可能性はあります。

ただし、この時代でもインターネット環境が無い縫製工場もあると思います。経営者が高齢化していると、メールで情報をやり取りすることは拒否している可能性もあります。情報のやり取りはFAXのみと言う縫製工場もあるでしょう。メールが出来ても、ガラケーのメールのみと言うところもあるでしょう。

情報の伝達の不便さはあるかも知れませんが、商品を生産してくれる縫製工場を見つけることを最優先することが大切です。

小規模な縫製工場の方が少ロットには向いています

ホームページを公開していない小規模な縫製工場の方が、少ロットの生産には向いています。例えば、ある商品を20枚発注したとします。この20枚は一人で一日かかる生産量だとすると、20人の生産ラインを持っている縫製工場だと、1/20日で生産が終了してしまいます。

同じ量の発注であっても、小規模な縫製工場の方が生産期間が長くなりますので、少ロットがあまり苦になりません。小規模な縫製工場は、あまり大きなロットになると生産期間が長くなり過ぎて、納期に間に合わなくなるなどの弊害が起きるので、大きいロットの受注を受けることが出来ません。

なので、アパレルブランドを立ち上げようとする場合は、出来るだけ小規模な縫製工場を探す方が、発注を受けてくれる可能性が高くなります。

良い縫製工場を見分ける方法

残念ながらネットに掲載されている情報で縫製工場を見分けることは出来ません

取引するのなら、出来るだけ良い縫製工場と取引したいと考えるのが当然ですが、残念ながらネット上に公開されている情報では縫製工場の良し悪しを判断することは出来ません。

生産管理の3要素「QCD」

生産現場で最も重要な3要素として、QCDがあります。これは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の3つについてお客様の要求を満たすことが重要なのです。

これは、生産活動を行っている工場であれば当然のことで、工場であれば3つの要素について、管理目標を設定して常に目標と実績のギャップを埋めるために改善活動を続けています。

縫製工場の良し悪しを判断するのに一番良い要素はQuality(品質)です。Quality(品質)に対して、縫製工場がどのような取り組みをしているかを知ることで、その縫製工場が良い縫製こうじょうかどうかの判断が出来ます。

とても曖昧な縫製品の品質基準

自動車部品や電子部品などの場合、不良品があると製品に明らかな動作の不具合が発生するので、品質基準は明確に設定できます。

しかし、縫製品の場合、品質判断はユーザーの主観によるところが大きく、明確な品質基準を設定するのが難しいことが多いのです。

着用に支障がかるような不良はもちろんどこの縫製工場でも不良と判断しますが、ユーザーにとって僅かな左右非対称やズレや縫いジワや目飛びなどをどこまで許容するかは、アパレルさんや縫製工場によって様々です。

ユーザーにとっても些細で気にならないような部分でも品質基準が明確になっていないと、なし崩し的に縫製工場の品質は悪くなります。

明文化された品質基準書があるか

まず最初に確認することは、その縫製工場に明文化された品質基準書があるかどうかです。

その縫製工場がどんな品質の商品を作ろうとしているのかを明確にしていなければ、出荷される商品は大きなバラツキのある商品になってしまいます。

品質基準が明文化されていないと、検品されずに出荷されてしまうか、検査員の気分で品質判定が行われてしまうので、縫製している人と、検査員の関係がとても険悪になってしまいます。

品質基準が明文化されていると、商品を作るゴールが社内で共有されるので、同じゴールを目指す強い組織になります。

社内の不良率は毎日データとして捉えられているか

明文化された品質基準書があっても、日々の不良率がデータとして捉えられていなければ、縫製工場の品質は良くなりません。さらに言うと、不良項目毎に何件あったのかが分からなければ不良品を減らそうとする行動も起こりません。社内の不良率と不良の中の最も多い項目が捉えられているかが、とても重要です。

縫製工場の仕事は、機械が自動的に生産するものでは無く、ミシンを使って人間の手で生産されるので、他の製造業よりも不良率は高いですが、それぞれの縫製工場が自社の悪さ加減を知らないと改善は始まらないのです。

悪さ加減を知ることで「改善しなければ!」と言う意志が働くようになるのです。

最も多い不良項目に対策を打っているか

不良品の中で、最も件数の多い不良に対して再発防止策を行っているかも重要です。再発防止策を行ったからと言って、すぐに不良の発生件数が減少すると言うことは稀ですが、常に自分の縫製工場のワースト1が分かっていて、日々改善の努力をしているかどうかです。

データに基づいて、理論的に不良品の発生を減らす努力を日々行っているかどうかがとても重要です。ワースト1について常に対策を行っていれば、ワースト1の発生率の推移もデータとして持っているはずです。

データに基づいて、不良品の発生を減らそうとしている縫製工場であれば、その縫製工場全体の品質意識が高いと言えますので、発注するのは問題ないと判断出来ます。

工場内に品質に関するデータが掲示されていること

もしも、発注する縫製工場を訪問する機会があれば、現場に不良率の推移や不良項目を示したパレート図が掲示されているか確認しましょう。このようなデータが掲示されていれば、社内不良に対して社内で情報が共有されていることになり、現場の作業者にも品質に対する意識が徹底されていると判断出来るでしょう。

コロナ禍でネット通販が盛況ですが、質感を伝えるのは大変

リアル店舗とネット通販の違いは生地の質感が伝わらないこと

コロナ禍で、店員と対面するブティックなどの衣料品販売店は大打撃を受けています。一方、対面の無いネット通販は好調のようです。

アパレルブランド立ち上げを考えている人にとっても、最も大きい販路として考えているのが、ネット通販だと思いますが、ファッション関連の商品の場合、実際に商品を手に取って確認することが出来ないネット通販の場合、記事の質感や厚みや透け感、シルキーなのかゴワッとした触感なのか、生地に触ることが出来ないので、商品が届いてからイメージと違っていたと言うことになると、同じショップを利用してもらえなくなる可能性があります。

リピート顧客はとても大切なので、始めて購入した商品に満足してもらえるように十分な説明や画像や動画なども活用して伝えるようにしましょう。

例えば、生地がどの程度透けるかは、生地の裏に違う色の紙などを入れて、どの程度下の色が透けるかを見せたり、生地がシルキーがゴワッとした感じかを伝えるには、マネキンに服を着させて、扇風機で風を当てて、服が風に吹かれてどの程度ヒラヒラと動くかを見せれば、どの程度の生地が薄くシルキーなのかの判断が出来ます、ユーザーに購入してから、残念と思わせない工夫は他にも色々あると思いますので、自分が作った商品をユーザーに余すことなく伝えるようにページを作りましょう。

ユーザーに商品の良さを出来る限り伝えようとする真摯な態度はユーザーに好感を持って受け入れられるはずです。

質感を伝えるための最大限の努力は、ショップの運営姿勢としてユーザーから評価されるはずで、好意的に評価され、ファンを獲得することにもつながります。

日本の縫製工場は小ロットが当たり前

アパレルブランドの発注ロットが小さいことはあまり悲観する必要はありません

日本の縫製工場は、バブル崩壊後に急速な生産拠点の海外移転に伴って、大ロットの初回発注のほとんどは中国などの海外に移って、日本国内の縫製工場は、小ロット生産が当たり前になってしまいました。

アパレルさんの初回発注が予想外に売れたりした時の追加フォローとか、新規ブランドで、どれだけ売れるか分からない商品や、まだメジャーにならないブランドで、海外に発注出来ないような小ロットの生産に使われることが多くなりました。

しかも、追加フォローの小ロットだから特別に工賃が高い訳ではありません。「追加フォローで小ロット生産したから、店頭の販売価格も高くすることは出来ない」と言うのが言い分です。

追加フォローのコストがかかることも含めて原価設定しているんじゃ無いのか?とも思いますが、力関係は圧倒的にアパレル企業が強いので、縫製工場の言い分はなかなか通りません。

縫製工場の立場としては、最も美味しい部分は、中国などの海外の縫製工場に取られ、残り物だけを日本の縫製工場で加工しているようなものです。

これが現状なので、アパレルブランドの立ち上げに際して、発注が小ロットであることはあまり悲観する必要はありません。

日本の縫製工場として生き残って行ける加工賃をいただければ良いのです。

一番問題になるのは、不明確な部分が多いこと

小ロットのアパレルブランドを立ち上げるのに、日本の縫製工場を使うのは、当然のことです。日本語でやり取りできることや、万一不良品があっても、日本国内なら、商品の返品や修正後の再納品などもそんなに心配はありません。

ただ、縫製工場の立場からすると、アパレル企業からの発注は、細部の仕様まで、決まっていて、それが仕様書や規格書になって書面を見ればどんな商品を作れば良いのか分かるので、どんな商品を作るのかについてのやり取りは、そんなに多くありません。

しかし、初めてブランドを立ち上げる場合は、細かな仕様などを決めることも難しいと思います。

その場合は、仕上がり寸法をどうしたいのか、縫製仕様をどうしたいのか、例えば、襟の部分の縫い方は、この商品と同じにとか、サンプルを付けていただけると、不必要なやり取りは減ると思います。

そして、もう一つ重要なことは、縫製工場に依頼する時点でどんな商品を作るのか決定していることです。縫製工場に依頼してから、やっぱりこの部分はこうしたいとか、途中で気が変わるようなことがあると、当初決定した価格では生産出来なくなってしまいます。

打ち合わせが始まってから、心変わりするようなことが無いように、商品のイメージを明確に決めてから、発注いただくのが良いかと思います。