アパレルの国内生産は僅か3%
国内の縫製工場のアパレル全体にに占める割合は僅か3%までに激減し、97%は海外で生産されており、店舗で日本製のアパレル商品を見つけることはほぼ不可能な状態になっています。
海外生産の加工賃が基準となって、商品の販売価格も決まるので、国内の縫製工場の工賃はさらに下がっており、受注量も不安定になっています。
コロナ禍で店舗での販売も激減
海外生産の流れが止まらない状況で、アパレルからの発注が減っているところに、コロナ禍がさらに稼働率の低下に拍車を掛け、元々ギリギリの経営状態だったのが、さらに悪化。
飲食店などの休業補償はありますが、上流の縫製工場には何も補償は無く、稼働率の低下が経営を直撃しています。
このままの状況が続けば、この機会に廃業を決断する経営者も増えるでしょう。
コロナ禍で国内の縫製工場の廃業が続けばアパレルの国内生産比率はさらに下がり、国内の縫製工場は益々絶滅の危機に直面します。
経営者は高齢化し後継ぎもいない
アパレルは国内の縫製工場を見捨てて海外に生産拠点を移し、元々ほとんど利益の出ない体質の縫製工場は、社員に良い待遇を示すことも出来ないので、若い労働者の確保も難しく、労働人口も減っています。
このような縫製工場の経営実態を知っている現経営者の息子などは、後継ぎにはなりたがらず、経営者の高齢化に伴って廃業が続出すると思いますので、今後残る国内の縫製工場は本当に少なくなると思います。
国内の縫製工場が完全に無くなることは無いと思いますが、現状よりも減少して行くことは間違いありません。
国内縫製工場の高い技術が失われていくのはとても残念なことです
国内の縫製工場はとても高い技術を持っており、海外生産の商品とは一線を画す品質を提供できますが、ユーザーにとっては、その高い技術に対して高いを支払う程の技術だと思われていないのでしょう。
アパレル商品はファストブランドに代表されるように低価格化が進み、国内の縫製工場では生産できない程低価格になっています。国内の縫製工場に発注出来るアパレルブランドも限られて来ており、一部の高級婦人服など本当に一部です。
政府などが今更縫製工場を国内の主要産業として復興させるような予算を付けることも無いでしょうし、予算が付いたからと言って、国内の縫製工場の国際競争力が付くとも思えません。
縫製工場は経済成長する初期段階に投資も少なく労働力も集めやすい時代の産業で、完全に成熟している国ではもうなり立たなくなっている産業です。
このまま、絶滅して高い技術力が失われてしまうのはとても残念なことではありますが、時代の趨勢としてはどうにもならないことだと思います。