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経済活動には、生産要素(労働、資本など)が必要です。
この生産要素は国によってばらつきがあり、
例えば「途上国で人が余っている」というのは、
「途上国では、資本に比較して人が調達しやすい」というのと
同じです。いっぽう、先進国ではこの逆となります

リカードらの比較生産費説は、二つの国がそれぞれ相手国と比較して
「調達しやすい生産要素を主に用いる産業」(=比較「優」位産業)に「特化」し、
「調達しにくい生産要素を主に用いる産業」(=比較「劣」位産業)の人や資本を
前者に転換することをすすめます。
極端に言うと、例えば、人手不足の日本は労働集約的(原価にしめる労働
コストの比重が高い)な縫製産業の人手・資本を、より資本集約的な航空
宇宙産業に投下すべきだ。いっぽう、人手余りの中国は、縫製産業に特化
すべきだ、ということになります。
国同士で比較優位の産業に特化する(=産業を交換する)結果、ある産業
の製品はその国の内部で生産されなくなりますから、これは相手国から輸入
しなければなりません(→貿易の必然性)。ですが結局、
それぞれが生産性の高い部門に「特化」することで、二つの国を「合計」した
生産力は上がるというものです。
----これが、「比較優位原理の貫徹」です。

しかしこれは極端な議論です。実際、中国では労働〜資本集約的な様々な
産業が育成され、しだいに後者に比重が移り始めています(この結果例えば、
繊維は輸出第一位を明け渡した)。
とすると、次のように解釈できます(---まだ、かなり拡大解釈ですが)。
中国の「人手余り」状態がしだいに解消され始めた
→「労働」という生産要素の調達がしだいに難しくなり始めた
→労働集約産業の比較優位を失い始めた
→中国の「相手国」は、それまでと比べれば、
労働集約産業の比較優位を取り戻し始め た

ですから、
「中国が(安物アパレル+αの)輸入国に転じた場合に、日本ですたれている
産業に比重が移る」の件、私が読み替えると、
「中国が労働集約産業で比較優位を失いそれらの製品輸入を始めた場合に、
すでに十分縮小した日本のアパレル縫製・テキスタイル産業は、(安物)はともかく
(+α)の国内・国外向け生産における比較優位を回復し、一定の市場をとって
棲み分ける」となります。

日本の場合、1億人の市場をもつ上に、今後その「分」衆化がすすみ、また
移民条件の緩和、円安の進行などもあるはずです。これらを考慮すれば、
これまで日本のテキスタイル・アパレル縫製が縮小し続けたからといって、
これを単純に延長してやがてゼロになると考えるのは、芸が無いことです。
(----また、バランスの取れた国土編成という観点からも重要)

「代表的な事例」ですが、
長期的には、例えば中国です。中国三千年は(手)工業大国の歴史ですが、
19世紀以降、経済力の停滞とともに人手余りの国=労働資源に優位性をもつ国に
なってしまいました。そして今、これが反転しつつあります。
より具体的に繊維アパレル産業の例としては、近現代ヨーロッパ内部の各国間の交代、たとえばスペイン、オランダ、ベルギー、ドイツなどがこうしたケースでないかと思っています。ただし、これは検討中です。

富山大学 根岸秀行教授にお聞きしました。


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